ラベルでわかる食の環境影響

あなたの食卓までの道のり:フードマイレージと食品表示から考える環境負荷

Tags: フードマイレージ, 食品表示, 環境負荷, 輸送, 産地, 地産地消

毎日食べるもの、どこから来ているか考えたことはありますか?

私たちが日々の食卓に並べる食品は、遠く離れた場所から運ばれてくるものが少なくありません。野菜や果物、肉や魚、そして加工食品まで、その多くは生産地から消費地へと長い旅をしています。この「食料輸送」は、実は地球環境に大きな影響を与えています。特に、輸送に使われる燃料が排出する温室効果ガスは、気候変動の一因となります。

食品がどのくらい遠くから運ばれてきたかを知るための目安の一つに、「フードマイレージ」という考え方があります。これは、食品の「重量」と「輸送距離」を掛け合わせて算出される指標です。フードマイレージが大きい食品ほど、輸送に伴う環境負荷が大きいと考えられます。

では、このフードマイレージや輸送による環境負荷を、私たちは日々の買い物の中でどのように意識し、少しでも環境に配慮した選択につなげることができるのでしょうか。そのヒントは、あなたが手に取る「食品表示」の中に隠されています。

食品表示のどこを見れば、輸送による環境影響がわかる?

最も直接的にフードマイレージの手がかりとなるのは、「産地表示」です。

1. 産地表示から距離を推測する

生鮮食品であれば、野菜や果物、肉や魚に必ず産地が表示されています。加工食品の場合も、主な原材料の原産地が表示されていることがあります。

もちろん、産地表示だけでは正確な輸送ルートや方法(船便か、航空便か、トラックか鉄道かなど)までは分かりませんし、国内での集荷や加工、配送のルートも複雑です。しかし、大まかな距離感を把握し、輸送に伴う環境負荷を推測するための重要な情報源となります。

2. 加工食品の表示にもヒントが?

加工食品の場合、原材料の原産地に加えて「製造者」や「加工所」の所在地が表示されています。

例えば、「製造所固有記号」などで具体的な工場は分からなくても、本社や営業所の所在地が分かれば、そこから消費地までの国内輸送の距離をある程度推測する補助的な情報となります。ただし、原材料の原産地が最もフードマイレージに大きく影響することが多いです。

日々の買い物で意識したいポイント

食品表示の産地を手がかりに、輸送による環境負荷を減らすために、日々の買い物でできることがあります。

ただし、すべての食品を近くのものだけで賄うのは難しいですし、遠距離輸送であっても、その食品の生産効率が高かったり、現地での雇用を生み出していたりと、様々な側面があります。重要なのは、「どこから来たのだろう?」と意識すること、そして、可能であればより輸送負荷の少ない選択肢を検討してみることです。

なぜ輸送距離が環境に影響するのか

食品の輸送には、トラック、船、飛行機などが使われます。これらの乗り物は燃料を消費し、その際に二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスを排出します。特に航空輸送は、短時間で輸送できる反面、単位あたりのCO2排出量が最も多い輸送手段の一つです。

輸送距離が長ければ長いほど、必要な燃料が増え、排出される温室効果ガスの量も増加します。また、輸送のために道路や港などのインフラが必要となり、その建設や維持にも資源やエネルギーが使われます。フードマイレージを意識した食品選びは、このような輸送に関わるエネルギー消費や温室効果ガス排出の削減に貢献することを目指すものです。

まとめ:食品表示を見て、環境に配慮した食卓へ

日々の食卓に並ぶ食品の「食卓までの道のり」を想像し、食品表示、特に「産地表示」に注目することは、食が環境に与える影響を考える第一歩です。

すべての買い物を「フードマイレージ」だけで決める必要はありません。しかし、「この野菜はどこから来たのかな」「このお肉はどの国のものだろう」と少し意識するだけで、食品と環境のつながりが見えてきます。そして、可能な範囲で近くの産地のものを選んでみるなど、小さなことからでも環境に配慮した食品選びを始めてみましょう。

食品表示は、単に食品の安全や品質を示すだけでなく、私たちの食が地球環境とどう繋がっているかを考えるための貴重な情報源なのです。