食品ラベルの小さなマーク:環境への影響を教えてくれる認証の見分け方
日々の買い物で、私たちは様々な食品と向き合います。その袋や容器に貼られた食品表示には、原材料名、産地、賞味期限など、たくさんの情報が詰まっています。これらの情報の中には、私たちの食が地球環境にどのような影響を与えているかを考えるためのヒントが隠されています。
今回は、食品表示の中でも特に「認証マーク」に注目し、それがどのように環境影響と関連しているのか、そして毎日の買い物でどのように活かせるのかをご紹介します。
食品ラベルにある「認証マーク」とは?
食品に付いている認証マークは、その製品が特定の基準を満たしていることを第三者が証明するものです。例えば、「有機JASマーク」は、農薬や化学肥料に頼らず、環境への負荷をできる限り減らして生産された有機食品であることを示しています。これ以外にも、環境や社会への配慮を示す様々な認証マークが存在します。これらのマークは、私たちが意識せずに買い物をするよりも、少し立ち止まって考えるきっかけを与えてくれます。
海の恵みを守るマーク:MSCとASC
私たちが食べる魚介類は、海の環境と深く関わっています。乱獲によって海の資源が減ってしまったり、不適切な養殖方法が海を汚染したりすることがあります。こうした問題を解決し、持続可能な漁業や養殖を応援するための認証マークがあります。
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MSC認証(海のエコラベル):
- 表示例: 青い魚の形をしたマークで、「MSC」という文字が入っています。
- 示すこと: 天然の魚が、海の資源を守り、環境に配慮した方法で獲られたものであることを証明しています。具体的には、獲りすぎない、海の環境や他の生き物に配慮する、といった厳しい基準を満たした漁業に与えられます。
- 環境影響との関連: このマークの付いた魚を選ぶことは、乱獲を防ぎ、将来にわたって海の恵みを持続的に利用することにつながります。海の生態系を守り、生物多様性の保全にも貢献できます。
- 買い物でのヒント: 魚の切り身、冷凍魚、ツナ缶、かまぼこなどの練り製品、魚介類を使ったお惣菜などのパッケージにこのマークがないか探してみましょう。
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ASC認証:
- 表示例: 緑色の丸いマークで、「ASC」という文字と魚のイラストが入っています。
- 示すこと: 環境や社会に配慮した方法で育てられた養殖魚であることを証明しています。水質管理、餌の管理、病気への対応、労働環境などに関する厳しい基準があります。
- 環境影響との関連: 適切な管理がされていない養殖は、周辺の環境汚染や野生生物への影響を与えることがあります。ASC認証の製品を選ぶことは、こうした養殖による環境負荷を減らし、地域社会にも配慮した生産を支援することにつながります。
- 買い物でのヒント: 養殖サーモン、エビ、ティラピア、二枚貝などの養殖魚介類や、それを使った加工品にこのマークがないか探してみましょう。
森林を守るマーク:RSPOなど
様々な加工食品に使われている「パーム油」をご存じでしょうか。これはアブラヤシの実から採れる植物油で、生産地によっては熱帯雨林の破壊やそれに伴う生物多様性の減少といった環境問題の原因となることがあります。
- RSPO認証(持続可能なパーム油のための円卓会議):
- 表示例: 「RSPO」のロゴや、「Certified Sustainable Palm Oil」といった文字が表示されていることがあります。認証のレベルによって表示が異なる場合があります。
- 示すこと: 環境や社会に配慮し、持続可能な方法で生産されたパーム油を使用していることを証明しています。新規の森林伐採を伴わない、野生生物の生息地に配慮する、労働者の権利を守るといった基準があります。
- 環境影響との関連: RSPO認証のパーム油を選ぶことは、森林破壊やそれに伴う温室効果ガス排出を抑制し、オランウータンなどの野生生物の生息地を守ることにつながります。
- 買い物でのヒント: チョコレート、ポテトチップス、インスタントラーメン、洗剤、石鹸など、パーム油が原材料に使われている可能性のある製品の表示を確認してみましょう。原材料名に「パーム油」と記載されている場合に、RSPOマークや関連する表示がないか探してみます。
その他にも、熱帯雨林の保護や農業従事者の労働環境に配慮した「レインフォレスト・アライアンス認証」など、様々な認証マークが食品に付いていることがあります。
ラベルを見る習慣から始める環境配慮
これらの認証マークは、食品がどのように生産・製造され、どのような環境負荷を伴ってきたかを知るための一つの手がかりです。すべての食品にこうしたマークが付いているわけではありませんし、マークだけが環境配慮の全てではありません。しかし、これらのマークを見つけること、そしてその意味を知ろうとすることは、私たちが日々の食の選択を通じて、海の豊かさや森林を守り、持続可能な社会の実現に貢献するための、具体的な一歩となります。
買い物をする際に、少し立ち止まって食品ラベルの小さなマークに目を向けてみてください。そこに、環境にやさしい選択をするためのヒントが見つかるかもしれません。小さな意識の変化が、食を取り巻く環境を考えるきっかけとなるはずです。