「乾燥食品」表示に注目!保存性・軽さと環境への影響を考える
日々の食卓に欠かせない食品の中には、「乾燥」という加工が施されたものがたくさんあります。例えば、お味噌汁の具になる乾燥わかめや、パスタ、干ししいたけ、インスタントスープなどがそうです。これらの食品は、軽くて場所を取らず、長い間保存できる便利なものですが、この「乾燥」という状態は、実は食の環境影響と深く関わっています。
食品表示を読み解くことで、乾燥食品が環境にどのような影響を与えているのかを知るヒントが見つかります。今回は、乾燥食品に焦点を当て、表示からわかる環境への配慮について考えてみましょう。
食品表示のどこに注目するか
乾燥食品のパッケージを見ると、いくつかの情報が記載されています。これらの表示から、環境影響を考える上で役立つポイントを見ていきます。
- 原材料名: 何が乾燥されているのか、その元の食材がわかります。例えば、わかめ、しいたけ、パスタであれば小麦などが記載されています。原材料の産地が書かれていることもあります。産地は、その食材がどこから運ばれてきたか(フードマイレージ)を知る手がかりになり、輸送に伴う環境負荷を考える上で参考になります。
- 製品名や説明: 製品名が「乾燥わかめ」「干ししいたけ」「フリーズドライ野菜」などとなっている場合、これは加工方法が「乾燥」であることを明確に示しています。乾燥の方法(例:フリーズドライ、熱風乾燥など)によっては、製造時のエネルギー消費に違いがあります。
- 保存方法: 「直射日光、高温多湿を避けて常温で保存」といった表示が一般的です。乾燥食品の多くが常温で長期間保存できることは、保管や輸送におけるエネルギー消費(冷蔵・冷凍が不要なため)を抑えることにつながります。
- 内容量: 乾燥状態での重量や容量が示されています。元の水分が抜けているため、同じ量を使う場合でも、生鮮品に比べてずっと軽いことがわかります。
これらの表示を組み合わせることで、乾燥食品がどのような特徴を持ち、それが環境にどう影響するのかが見えてきます。
「乾燥」加工が環境に与える影響
「乾燥」という加工は、食品から水分を取り除くことで、腐敗の原因となる微生物の活動を抑え、長期保存を可能にします。このプロセスは、食のサプライチェーン全体で様々な環境影響をもたらします。
- 製造時のエネルギー消費: 食品を乾燥させるためには、熱や電気などのエネルギーが必要です。乾燥方法によっては、比較的多大なエネルギーを消費するものもあります(例えば、フリーズドライは特にエネルギーを使います)。この製造段階でのエネルギー使用は、温室効果ガス排出などの環境負荷につながります。
- 輸送効率と保管: 乾燥させることで、食品の重量と体積が大幅に減ります。これにより、輸送時に一度に運べる量が増え、輸送にかかる燃料消費や排出ガスを削減できる可能性があります。また、多くの乾燥食品が常温で保管できるため、冷蔵・冷凍に必要なエネルギーを削減できます。これは、倉庫から店舗、そしてご家庭での保管に至るまで、一貫して環境負荷の低減につながる利点です。
- 食品ロス削減: 乾燥食品は水分が少なく安定しているため、賞味期限が長く設定されています。これにより、消費期限切れによる食品ロスを防ぎやすくなります。必要な時に必要な量だけ使える製品形態(例:少量ずつ使える乾燥わかめ、インスタントスープなど)も、無駄を減らすのに役立ちます。
このように、乾燥食品は製造段階でエネルギーを使う側面がある一方で、輸送・保管の効率化や食品ロス削減といった、サプライチェーン全体での環境負荷低減に貢献する側面も持ち合わせています。
日々の買い物で環境に配慮するヒント
乾燥食品の表示から読み取れる情報を参考に、日々の買い物で環境に配慮するためにできることをいくつかご紹介します。
- 乾燥食品の環境メリットを意識する: 軽い乾燥食品を選ぶことは、輸送エネルギーの削減に貢献している可能性があります。また、長期保存ができることで、食品ロスを防ぎやすくなります。これらのメリットを理解して商品を選んでみましょう。
- 原材料の産地を確認する: 可能な範囲で、原材料の産地表示を確認してみましょう。地元産や国内産など、輸送距離が短いものを選ぶことは、フードマイレージを減らし、輸送に伴う環境負荷の低減につながる可能性があります。
- 必要な量を適切に買う: 乾燥食品は日持ちしますが、買いすぎは避けるのが賢明です。必要な量を考えて購入し、適切に保存することで、自宅での食品ロスを確実に防ぐことができます。
- さまざまな形態を比較する視点を持つ: 生鮮品、冷凍品、乾燥品など、同じ食材でも様々な形態で販売されています。それぞれに製造、輸送、保存、食品ロスといった各段階で異なる環境影響があります。すべての乾燥食品が環境負荷が低いと一概には言えませんが、長期保存性や輸送効率といったメリットを理解し、他の形態と比較して、ご自身のライフスタイルに合った、より環境に配慮できる選択肢を考えてみましょう。
まとめ
食品表示にある「原材料名」や「保存方法」、そして製品名からわかる「乾燥」という加工方法は、その食品の製造、輸送、保存、そして食品ロスといった様々な段階での環境影響を知る手がかりとなります。
乾燥食品が持つ「軽い」「日持ちする」という特徴は、輸送・保管時のエネルギー削減や食品ロス削減に貢献するメリットがある一方で、製造時にエネルギーを消費する側面もあります。これらの点を踏まえ、食品表示を読み解きながら、日々の買い物で少し意識を向けることが、環境に配慮した食の選択につながります。
身近な乾燥食品のラベルを眺めることから、食と環境のつながりを考える第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。