ラベルでわかる食の環境影響

有機JASマークは環境にどうつながる?表示から知る食の選び方

Tags: 有機JAS, 食品表示, 環境影響, 有機農業, 持続可能な食, 買い物

食品のパッケージで「有機JASマーク」を見かけることが増えました。この緑色の丸いマークは、国の定めた厳しい基準をクリアした有機食品だけが表示できるものです。安全・安心な食品のイメージがあるかもしれませんが、このマークは私たちの食が環境に与える影響とも深くつながっています。

今回は、食品表示の有機JASマークに注目し、それがどのような環境影響と関連しているのか、そして日々の買い物でどのように活かせるのかを考えてみましょう。

有機JASマークとは?環境にどうつながる?

有機JASマークが付いている食品は、原則として化学肥料や農薬、遺伝子組み換え技術を使用せずに生産された農産物や、有機畜産物、有機加工食品です。では、これがなぜ環境負荷の低減につながるのでしょうか。

土壌や水を守る

有機栽培では、化学肥料や農薬を使わない代わりに、堆肥などの有機物を利用して土づくりを行います。これにより、土の中の微生物や生き物が増え、土壌が健康的で豊かな状態に保たれます。健康な土は、雨が降っても表土が流出しにくく、栄養分が地下水に溶け出しにくい性質があります。

一方、化学肥料や農薬が過剰に使われると、土壌が劣化したり、雨水とともに河川や海に流れ出して水質汚染の原因になったりすることがあります。有機栽培は、こうした土壌や水質への負荷を減らすことにつながります。

生物多様性を保つ

化学合成農薬を使用しない有機栽培の畑では、虫や鳥、ミミズなど多様な生物が生息しやすくなります。益虫が害虫を食べてくれたり、ミミズが土を耕してくれたりするなど、自然の生態系が畑の環境を健全に保つ手助けをします。これは、特定の生物だけが優占したり、逆に激減したりする事態を防ぎ、地域の生物多様性を守ることにつながります。

地球温暖化への影響を減らす可能性

有機農業は、堆肥などの有機物を土に入れることで、大気中の炭素を土壌中に固定する可能性が指摘されています。また、化学肥料を製造する過程では多くのエネルギーが使われ、温室効果ガスが発生しますが、有機農業では化学肥料を使用しないため、その分の排出を抑えることになります。サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量の削減に貢献しうるのです。

食品表示のどこを見る?

日々の買い物で有機JASマークを探す際のチェックポイントはシンプルです。

これらの表示を確認することで、その商品が有機の基準を満たして生産されたものであると判断できます。

日々の買い物での選び方・ヒント

有機JASマークは、環境に配慮した食を選ぶための一つの分かりやすい手がかりとなります。

まとめ

食品表示の有機JASマークは、化学肥料や農薬の使用を抑えることで、土壌や水質の保全、生物多様性の維持、そして地球温暖化対策にもつながる生産方法を示しています。日々の買い物でこのマークを探すことは、環境に配慮した食の選択をするための一つの具体的な行動です。

すべての買い物を有機食品にする必要はありません。まずは表示を見て、有機JASマークの意味を知り、できることから少しずつ食の選択に環境への視点を取り入れていくことが大切です。あなたの今日の食の選択が、未来の環境につながっています。