食品パッケージの表示からわかる環境のこと：プラスチック削減へのヒント
買い物で気になる食品パッケージ、環境とのつながりは？
日々手に取る食品には、必ずパッケージがついています。このパッケージは、食品を保護し、品質を保つために欠かせないものですが、その素材や処理方法によっては環境に大きな影響を与えることがあります。特にプラスチック製のパッケージは、製造から廃棄、リサイクルに至るまで様々な課題が指摘されています。
「ラベルでわかる食の環境影響」では、食品表示を通して食と環境の関係を考えるヒントをお届けしています。今回は、食品パッケージに注目し、そこに表示されている情報から、どのように環境への影響を考え、より良い選択ができるのかを探ります。
パッケージの素材表示から環境負荷を考える
多くの食品パッケージには、その素材を示す表示がついています。特にプラスチックの場合、「プラ」マークとともにPE（ポリエチレン）、PP（ポリプロピレン）、PET（ポリエチレンテレフタレート）といった素材名が記載されているのを目にしたことがあるかもしれません。
これらのプラスチック素材は、石油などの化石燃料から作られます。製造の過程ではエネルギーを消費し、温室効果ガスを排出します。また、使い終わったプラスチックが適切に処理されないと、ごみとして環境中に流出し、海洋プラスチック問題を引き起こす原因となります。これは、海の生き物に影響を与えたり、さらに細かくなったマイクロプラスチックとして私たちの健康にも関わる可能性が指摘されている深刻な問題です。
パッケージの表示を見ただけでは、その製品の製造や廃棄の過程でどれくらいの温室効果ガスが出たのかといった具体的な環境負荷の数値は分かりません。しかし、どのような素材が使われているかを知ることは、その後のリサイクルを考える上で重要な第一歩となります。また、必要以上に過剰な包装がされていないかどうかも、間接的に資源の無駄を判断するヒントになるでしょう。
リサイクル表示は、環境への貢献を教えてくれるマーク
パッケージには、リサイクルを促すためのマークが表示されていることがよくあります。「紙」「プラ」「アルミ」「スチール」などのマークは、そのパッケージがどの分別区分でリサイクルできるかを示しています。
私たちが使用済みパッケージを正しく分別し、それがリサイクルされることで、新たな製品を作るために必要な天然資源（石油、木材、鉱物など）の消費を減らすことができます。また、リサイクルされた素材を使う方が、一から新しい素材を作るよりもエネルギー消費や温室効果ガスの排出を抑えられる場合が多いのです。
例えば、ペットボトルにはPETのリサイクルマークがついています。これを正しく分別してリサイクルに出すことで、新しいペットボトルや様々な製品に生まれ変わらせることができます。自治体の分別ルールに従って、適切にリサイクルを実践することは、環境負荷低減に直接つながる私たちにできる行動です。
その他の環境配慮を示すパッケージ表示
最近では、環境に配慮した素材を使ったパッケージも少しずつ増えています。例えば、植物由来の素材を一部または全部に使用した「バイオマスプラスチック」や、回収されたプラスチックを原料とする「再生プラスチック」を使用したパッケージには、その旨が表示されていることがあります。
また、紙製のパッケージでは、森林が適切に管理されていることを示すFSC認証マークがついているものもあります。これは、パッケージの原料となる木材が、森林の環境保全や地域社会への配慮がなされている森から来ていることを示しています。
これらの表示はまだ全ての製品についているわけではありませんが、もし見かけたら、それは環境負荷を減らすための企業の努力であると理解し、選択肢の一つとして考慮することができます。
日々の買い物でパッケージ表示をチェックするヒント
環境に配慮した買い物をするために、パッケージ表示をどのように活用できるでしょうか。
- 素材表示とリサイクルマークを確認する: 購入する製品のパッケージ素材が何か、お住まいの地域のルールに従ってリサイクル可能かを確認しましょう。分別しやすい単一素材のパッケージを選ぶことも一つの考え方です。
- 過剰包装されていないかを見る: 包装材の量が内容物に対して明らかに多い場合は、不要な資源を使っている可能性があります。シンプルな包装の製品を選ぶことも環境負荷を減らすことにつながります。
- 環境配慮型素材の表示を探す: バイオマスプラスチックや再生プラスチック、FSC認証紙などの表示があれば、より積極的に環境に配慮している製品として選ぶことができます。
- 表示以外の選択肢も考える: パッケージされた製品だけでなく、量り売りを利用したり、マイバッグやマイ容器を持参して買い物をしたりすることも、パッケージごみを根本的に減らす有効な方法です。
まとめ：パッケージ表示から始める小さな一歩
食品パッケージの表示は、単なる素材情報や分別方法を示すだけでなく、その製品が環境に与える影響を考えるためのヒントを与えてくれます。「プラ」マークやリサイクルマーク、あるいは環境配慮型素材の表示など、小さなマークや文字から、プラスチック問題をはじめとする様々な環境課題とのつながりを知ることができます。
日々の買い物の際に、少しだけパッケージの表示に目を向けること。そして、その情報をもとに、環境への負荷が少ない選択肢を選んだり、購入後は適切に分別・リサイクルを行ったりすること。こうした小さな一歩が、積み重なることで、食を通じた環境負荷の低減につながっていきます。食品表示を「環境との対話」の入り口として、賢く買い物を楽しんでみませんか。