「食品添加物」表示に注目!その裏にある食の環境影響を考える
「食品添加物」表示から、食の環境影響を読み解くヒント
普段、食品のラベルを見る際に、「食品添加物」の項目をじっくりご覧になることは少ないかもしれません。しかし、この「食品添加物」の表示にも、私たちの食が環境に与える影響を考えるための大切なヒントが隠されています。
この情報サイトでは、「食品表示」を手がかりに、毎日の食事が地球環境とどのようにつながっているのかを分かりやすくお伝えすることを目指しています。今回は、食品添加物がどのように環境影響と関連しているのか、そして日々の買い物でできることは何かを見ていきましょう。
食品添加物の表示とは?
日本の食品表示法では、使用された食品添加物は原則としてすべて表示することが義務付けられています。表示方法はいくつかありますが、最も一般的なのは「食品添加物」という項目を設けて、その後に添加物の名称を記載する方法です。
例えば、お菓子や加工食品の原材料名欄に「原材料名:小麦粉、砂糖、マーガリン/乳化剤、膨張剤、着色料(カロテン)、香料」のように、「/」の後に記載されているものが食品添加物にあたります。この表示には、その食品にどんな添加物が使われているかを知る手がかりが示されています。
添加物の種類と環境影響の関連性
食品添加物には、色や香りをつけたり、食感を良くしたり、品質を保ったりと様々な役割があります。これらの添加物は、どのように作られ、どこから来るのでしょうか?
食品添加物は、大きく分けて「天然添加物」と「合成添加物」があります。
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天然添加物: 植物、動物、鉱物など、自然界に存在する物質から抽出・精製されたものです。例えば、着色料として使われるクチナシ色素やパプリカ色素は植物由来、香料として使われる抽出物なども天然由来の添加物にあたります。 これらの天然添加物の製造には、原料となる植物などを栽培・収穫する過程が伴います。この過程では、土地を利用したり、水を使ったり、時には農薬や肥料が使われたりします。こうした活動は、その規模や方法によっては、生態系への影響や水質汚染、温室効果ガスの排出など、環境に負荷を与える可能性があります。
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合成添加物: 化学的な合成によって人工的に作られたものです。例えば、保存料として使われるソルビン酸カリウムや、一部の合成着色料などがこれにあたります。 合成添加物の製造は、主に化学工場で行われます。化学合成のプロセスでは、多くのエネルギーを消費したり、特定の化学物質を使用したり、排水や廃棄物が発生したりすることがあります。これらのプロセスも、環境に負荷を与える可能性があります。
表示から環境影響を推測するヒント
食品添加物の表示を見るだけで、その環境負荷のすべてを知ることは難しいのが現実です。サプライチェーンは複雑で、添加物の原料がどこで、どのように作られたのか、そして添加物自体がどのような工場で製造されたのかまでをラベルから読み取ることはできません。
しかし、表示されている添加物の種類を手がかりに、間接的に環境への配慮を考えるヒントを得ることはできます。
- 添加物の種類が少ないもの: 一般的に、使われている添加物の種類が少ない食品は、加工度が比較的低い傾向があります。加工度が高いほど、多くの工程や原料が必要となり、サプライチェーン全体でのエネルギー消費や資源利用が増える可能性があります。添加物の種類が少ないシンプルな表示の食品を選ぶことは、間接的に環境負荷の低減につながる考え方の一つです。
- 天然由来の添加物を含む場合: 天然由来の添加物であっても環境負荷ゼロではありませんが、その原料がどのように栽培されたかに関心を持つきっかけになります。例えば、有機栽培された植物を原料とする添加物(そのような情報がラベルから直接わかることは稀ですが)や、持続可能な方法で採取された原料から作られた添加物は、環境への配慮が進んでいる可能性があります。
- 特定の認証マークとの関連: 例えば、有機JASマークの付いた食品は、使用できる食品添加物の種類や量が厳しく制限されています。こうした認証マークは、添加物に限らず、生産方法全体での環境への配慮がなされていることの証でもあります。食品添加物の項目と合わせて、他の認証マークもチェックしてみるのがおすすめです。
食品添加物の役割と食品ロス
食品添加物の中には、食品の保存性を高めることで、食品ロスを減らす役割を果たしているものもあります。例えば、カビや細菌の繁殖を抑える保存料は、食品をより長く安全に食べられるようにし、廃棄される量を減らすことに貢献しています。また、酸化を防ぐ酸化防止剤は、食品の風味や色が悪くなるのを遅らせ、無駄を防ぐのに役立ちます。
このように、食品添加物は一概に環境負荷を高めるものだけではなく、使い方によっては食品ロスという別の環境問題を解決する一助となる側面もあります。大切なのは、それぞれの食品添加物がどんな目的で使われているのかを理解し、全体のバランスの中で環境への影響を考える視点を持つことです。
日々の買い物で意識してみましょう
食品添加物の表示から環境影響を完全に読み解くことは簡単ではありませんが、ラベルの「食品添加物」の欄に少し意識を向けてみることから始めてみてはいかがでしょうか。
- 普段よく買う食品にはどんな添加物が使われているか見てみる。
- 似た種類の食品で、添加物の種類や量が違うものがあれば比べてみる。
- シンプルな原材料の食品や、他の環境関連の認証マークが付いた食品も選択肢に入れてみる。
これらの小さな意識が、私たちの食卓が地球環境とどのようにつながっているのかを知る第一歩となり、より環境に配慮した食品選びへとつながっていくはずです。完璧を目指す必要はありません。表示を見ることから始めて、ご自身のペースでできることから取り組んでみましょう。