ラベルでわかる食の環境影響

食品表示で「旬」を見つける:おいしさと環境への配慮を両立

Tags: 食品表示, 旬, 環境負荷, 買い物, 産地

旬の食品と環境負荷

私たちが普段食べている食品には、それぞれ「旬」があります。旬の時期に採れる野菜や果物、旬を迎えた魚介類は、味が良いだけでなく栄養価が高いとも言われます。そして、この「旬」を意識した食品選びは、実は環境への負荷を減らすことにもつながる大切な行動の一つです。

食品が私たちの食卓に届くまでには、栽培・漁獲、輸送、加工、販売といった様々な段階を経ており、それぞれの段階で温室効果ガスの排出や資源の消費など、環境への影響が発生しています。旬の食品を選ぶことは、これらの環境負荷を低減するための身近な方法なのです。

では、日々の買い物の中で、どのように食品表示から「旬」を見分け、環境に配慮した選択ができるのでしょうか。

食品表示から「旬」を知るヒント

食品表示には、「旬」という言葉が直接的に書かれているわけではありません。しかし、いくつかの表示項目から、その食品が旬のものであるかどうかを推測するためのヒントを得ることができます。

最も重要なヒントの一つは、「産地表示」です。

例えば、冬にスーパーでトマトを見かけるとします。多くのトマトは夏が旬ですが、冬でも栽培・出荷されています。この場合、産地表示を見てみましょう。もし北海道産のトマトが表示されていたら、冬の寒い時期に育てるためには、暖房を使ったハウス栽培が必要な可能性が高いと考えられます。これは多くのエネルギーを消費し、環境負荷につながります。一方、熊本県や高知県など、温暖な気候で冬でも比較的栽培しやすい地域であれば、エネルギー消費を抑えている可能性も考えられます。

さらに、海外からの輸入品であれば、長距離の輸送による環境負荷が加わります。旬の時期には国内の様々な産地から出荷されるため、比較的近距離で生産されたものを選びやすくなります。

次に、「品名」や「品種名」もヒントになります。

お米の場合、「新米」と表示されていれば、その年の秋に収穫されたばかりのものであることがわかります。これはまさにお米の「旬」であり、新鮮さを表しています。野菜や果物でも、「早生みかん」「特定の品種のりんご(例:つがる、ふじなど)」のように品種名が書かれていることがあります。それぞれの品種には収穫時期が決まっているため、少し調べることでその品種の旬を知ることができます。

一部の食品、例えば加工品では「主原料の原産国」が表示されている場合があります。輸入品の場合、その国の気候や収穫時期を考慮することで、日本の旬とは異なる時期に収穫されたものであることが推測できます。

旬の食品選びが環境に良い理由

なぜ旬の食品を選ぶことが環境負荷低減につながるのでしょうか。

  1. エネルギー消費の削減: 旬の時期は、その作物が自然な環境で最も生育しやすい時期です。そのため、温度や湿度を調整するためのハウス栽培など、多くのエネルギーを必要とする栽培方法を避けることができます。露地栽培や簡易なハウス栽培であれば、エネルギー消費は格段に少なくなります。
  2. 輸送による負荷の低減: 旬の時期には、通常、国内の広い範囲でその作物が収穫されます。これにより、遠く離れた地域や海外からの輸送に頼る必要が減り、輸送時に発生するCO2排出量を削減できます。地元の旬のものを積極的に選べば、さらに輸送距離を短く抑えられます。
  3. 農薬・肥料の使用量削減の可能性: 旬の時期は、作物が本来持っている生命力が強く、病害虫の被害を受けにくい傾向があります。そのため、必要とされる農薬や化学肥料の量が減る可能性があり、これらが環境に与える影響(土壌や水質汚染など)を抑えることにつながります。
  4. フードロスの削減: 旬の時期には特定の食品が豊富に供給され、価格も手頃になりやすいため、消費者に購入されやすく、フードロスが発生しにくくなる傾向があります。

日々の買い物でできること

食品表示から「旬」を意識した買い物をするために、以下の点をチェックしてみてください。

「この時期にこの産地のものが並んでいるのは、旬だからかな?」と食品表示を見ながら考えてみるだけでも、食品と環境への意識は高まります。

まとめ

食品表示に書かれた産地や品種名といった情報は、その食品が育った背景や流通の過程、ひいてはその環境負荷を知るための大切な手がかりです。直接「旬」と書かれていなくても、これらの情報から旬を読み取ることで、エネルギー消費や輸送による負荷を抑え、農薬・肥料の使用量削減にもつながる賢い食品選びができます。

旬の食品は、おいしくて栄養が豊富であると同時に、環境にもやさしい選択です。いつもの買い物で少しだけ表示に注目し、「旬」を意識することから、持続可能な食生活を始めてみませんか。それは、私たち自身の健康だけでなく、地球の未来にとっても良い影響をもたらすはずです。